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バリ島ヨガリトリート2015に向けて –
旅の音沙汰
地図上では緑の種を撒き散らしたように見える東南アジア南部の島嶼国家、インドネシア。
18,000を超える島々のうち、首都ジャカルタの東側に位置するバリ島に深夜に降り立ち、
エキゾチックな匂いを感じながら車を走らせる。
色彩豊かな光の中を人々が歩き、
膨大な数のスクーターのエンジン音が、
小刻みに時間を揺らしていた。
旅先で訪れる場所は、どこもどこか本当らしくない。
ときおり、街中の誰かが視線を上げて通過する車を見るが、
大部分は無関心そのもの、単にいつもの日常だ。
インドネシアは他民族国家であるため、島々によって言語・宗教が異なる。
イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教、無宗教などなど。
バリ島は土着信仰とインド仏教・ヒンドゥー教が合わさり、
バリヒンドゥーと呼ばれる信仰を奉じている。
言語、宗教、暮らし、リゾートアイランド、
これらの様々な均衡を保ちつつ、
この限られた島空間を共有して生きている。
インドの旅より遥かに居心地の良い車でリトリート宿泊先へ。
月明かりが僕たちリトリート一行をやさしく撫でる。
今回のバリ島ヨガリトリートは、誰もがこの"今、この瞬間"を大切に過ごしていた。
大自然と共に、
わたしの声、あなたの声、この耳を打つ生きとし生けるものたちすべての声で、
日々織り上げられていくこの時間こそが、自分なのだと。
リトリート修了後、僕はレンボンガン島へ船で移動。
すでにバリ島でも波乗りを満喫していたが、
海もさらに綺麗で、波もGood!と聞いては、行かないわけには・・・ね。
僕たちが滞在中、島はフェスティバル一色。
島の中心部にある主要道路は封鎖され、炎と煙に包まれていた。
島全体がひとつひとつ歴史を紡ぐ。
暮らしに根づく彼らの本質は、リゾートとして多くの者がこの地に訪れても
変わることはないだろう。
現代社会は情報が溢れ、その中で生きる人間は、無限の機会があると思い込んでいる。
しかし実際には、自分が一生の間に出会える人や住む場所の数は限られている。
だから、自分にとっての可能性は、機会の数ではなく、自分の中にしか培われない。
そのようなことが、当たり前と感じるためには、昨日よりも今日の自分の方が
少しでも豊かになっていると感じられる"瞬間"を一つでも持つことが大切。
これまでと、この先との間、今を。
レンボンガン島の主なサーフポイントは3つほど。どれも速い波。
今にも壊れそうなイエローブリッジ(Yellow Bridge)でつながる隣の島、
チェニンガン(チュニガン)もサーフポイントあり。
Yellow Bridge
レンボンガンからポイントまではボートエントリーでOK!
マッシュルームビーチから20分ほどで着く、なかなかの特別な場所。
波は大きく、レンボンガンよりもややサイズアップするけど、
大概は二人で貸しきりの美味しいポイント。
この日は頭~頭半の波が途切れずに押し寄せる。
セットのダブルは見送りながら、夫婦二人でプカプカ過ごす。
もちろんポイントブレイクなので、波待ち場所をずらせば
安心して自分のペースで波乗りを楽しる。
今こうして目を閉じてあの光景を思い浮かべると、
身体全体に、スウェルを五感で味わった時の心地よい興奮が蘇る。
サーフィンに行かれる方々、インサイドは流れが強いのでご用心を。
レンボンガン島での数少ないお楽しみスポット、マングローブフォレスト。
手漕ぎボートに乗り込み、水面をたたずむと、
マングローブの生命力の強さと鼓動が伝わってくる。
その根は大きく、長くて太い、森全体が今にも動き出しそうだ。
森の奥へと進むにつれ、自分が進んでいるのではなく、
森に吸い込まれていく感覚を覚える。静寂とはまさにこのこと。
空気がとてもきれいなのだろう、
こんなにも風が身体に馴染むものなのかと驚かされる。
呼吸をするたびに、余分なものが剥がれ落ちる。
単にリラックスしてる状態とは少し違う。
力が湧き出るのと同時に、自分自身が空間に溶け込んでいく。
ヨガをしているときにもずっと感じていた感覚。
アーサナと呼吸が深まれば深まるほど、意思を持つ風が身体の中を通り抜けていく。
Mangrove Forest
ヨガリトリート、そして、旅することは、
自然の偉大さと、その躍動を、
自分の命で受けとめ、あらゆる存在の尊さを獲得し手放すことだ。
この旅は、新しい発見の旅というより、
それ以前に感じた大切なことを
あらためて確認するような旅となった。
バリ島ヨガリトリート参加者の皆様
ありがとうございました。
Shoji