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Shoji. 【南インド4】 しかるべき事由
何でもないことが、後になって、
実は大きな意味を持っていたし、持ち続けることがある。
その事件以来、僕はインドでの自分の振る舞いに、
いささか用心深くなった。
けれども同時に、この旅に深く魅せられていく。
事件の詳細についてはこちらをどうぞ。
⇒Chihiroのヨガ旅【南インド】Vol.12 あてのない旅へ
起きよ、目覚めよ!
モンスーンはどこかに去り、ビーチがやさしく微笑む。
風には涼しさが交じり、海はキラキラ輝く。
酔いしれるような爽快感。
波は昨日よりもワンサイズダウンしているがセットで頭。
ダンパー気味でブレイクが速いので、
しっかりピークを見極めないと先がない。
インサイドはカレントがきつく、バックウォッシュをくらう。
自ずとアウトに出るしかない。
このサーフポイントは湾になっていて、
右サイドと左サイドに突き出た岩がある。
この岩を結ぶ延長線上までパドルアウトすると、
流れは比較的緩やかだ。
カタチのよい波を選んでテイクオフすると、
サーフボードは広い斜面を駆けめぐり、白い軌跡生む。
事件前の1ラウンドは極上の時間を味わえた。
ランチを早々に済まし2ラウンド目。
海の様子はほとんど変わっていないが、
ひとたび大きいセットが入ると、
ビーチブレイクといえどもスリリングなテイクオフとなる。
カルフォルニアからやって来たグッドサーファーは、
1本の波でエアーを2発決めて幸せ顔だ。
彼のボトムは太陽を反射させ、リップを弾き輝いていた。
波の背からのアングルは最高だ。
彼と僕と妻の3人で、まったりとした空間を楽しむ。
はじめて出会った人と波に乗り、笑顔を交わす。
何かをきっかけとし、共生する。
その前と後ではちょっとだけ、その人との関係が違っている。
これが人間の醍醐味でり、
人が人でいることのできる『しかるべき事由』ではないだろうか。
しばらくすると、波の間に2つの人影が見えた。
あっという間に沖へ流されている。
これが例の事件の始まりである。
見よ、この人だかり。
さらにビーチ側にも何十人と集まっている。
この一件があり、
イギリス人の放浪フォトグラファー、エリオットが、
僕たちをあてのない旅へ導くこととなる。
『ここで私とあなたが出会ったのも何かの御縁』
たしか、こんな言葉があったな・・・。
僕たちはやわらかい夕日に包まれながら、
写真などでは味わえない感覚を、
確実に体に刻んだという実感があった。